雪が降る地域や冬期の気温が低い地域では、冬の間道路の脇等に凍結防止剤(融雪剤)の袋が積まれているのを見かけます。
道路に積もった雪は、気温が摂氏0℃以上なら徐々に融けていきますが、0℃以下の場合融けることなくそのまま道路の上に積もっていきます。また、水たまりがあった場合、気温が低いとそのまま凍結します。放置しておくとスリップ等事故の原因になるので、これを道路に撒くことで雪や氷を融かしているのです。
凍結防止剤の主原料は「塩化カルシウム」です。時には「塩化ナトリウム」が原料の物もあります。通常、水の凝固点は摂氏0℃ですが塩化カルシウムや塩化ナトリウムが水に溶けると、その水溶液は凝固点が下がる凝固点低下という現象が起きます。そのため、水は例え気温が0℃以下になっても固まりません。凍結防止剤はこの原理を利用して、雪や氷を融かしています。この様に非常に効果的な凍結防止剤ですが、問題になっていることがあります。
この原料である塩化カルシウムまたは塩化ナトリウムは、海岸に多い塩害の原因です。塩害は、特に金属類に大きな被害をもたらしています。屋外に設置されている金属製品は意外と多いのですが、現代生活には不可欠なケーブルもその1つです。凍結防止剤を撒いていると、水溶液が地中に浸透していき、やがて地中のケーブルを浸食していきます。そのため、浸食で劣化したケーブルが原因で、冬期に配線のトラブルがよく起きています。とは言え、今の所効果や安全性等で塩化カルシウムに優る材料がないのが現状です。