建築物の新築工事や改修工事などで電気配線を布設する方法は、布設場所やケーブルの用途や本数で決定します。
電力会社から受電する場所の周辺では架空にて行われることがほとんどであり、天井や壁の内部ではケーブルを隠ぺい配線で、分電盤や制御盤の周辺では電線管配線とする事例がほとんどであります。高圧受電の受変電設備や受水槽や加圧給水設備がある部屋では、機器に接続される配線は大量になってしまうので、電線管配線とすると施工性が悪い上にメンテナンスにも支障をきたしたます。
こうした場合は、配線ダクトやケーブルラックが採用されます。界壁や防火区画の貫通が発生する配線の布設や、メンテナンスなどでケーブルを損傷させたくない時にもダクトが用いられます。配線ダクトは、電気設備の技術基準や諸法令によってタイプと施工方法が定められています。材質として鋼板製や塩ビ製などのタイプがあって、施工方法では吊りピッチなどが規定され、区画貫通時には鋼板タイプのダクトとしなければなりません。
防火区画貫通の必要がなくて、外部からの損傷の恐れがない場所であれば、塩ビ製タイプが使用できます。塩ビ製は安価であるので導入コストを抑えることができる上に、導電性がないためダクトに接地を施す必要がありません。配線ダクトは大規模な建築物の電気工事にて採用されることが多いのですが、施工にあたっては事前に他の設備工事担当者と、設置位置や作業順序などについて綿密に協議しておくことで、滞りのない作業ができます。